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2009年11月08日

黒い家/貴志祐介

黒い家/貴志祐介

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。
ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。
ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。
信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。
読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。


うわあああぁぁあぁ・・・。
こ、怖かったです。
なんというか、ホラーというかサイコサスペンスな色合いが強いイメージだったので手に取りました。
ものすごく怖かったですが、その感覚は間違っていなかったと思います。
私が感じているのはニュアンス的なものだし、うまく説明できないけど。。
お化けや幽霊は駄目なんですよ。嫌いです。
人間の毒みたいなものには、怖がりながらも興味があるんでしょうね。
それでも、映像では決して見たくはないですけど。
(日本版の大竹しのぶが凄いらしい・・・)

この本書でもある「ロンブローゾ、生来性犯罪者説」
これ、半分は私、納得できるんです。
ここのサイトをよく見ていたのですが、ネオ・ロンブロジアンや、カニバリズム、サイコ殺人、ネクロフィリア。
どんな環境で育ったとしても、もともと、要素がないとそうはならないと思うのです。
本当、このサイト見ると鬱のような気持ちになっていつまでも引きずってしまう、でも見てしまう。
本書の菰田幸子も実際にいる人物なら、このサイトに載っているはずでしょう。

本書に出てくる菰田幸子の子供の頃の作文を見て、犯罪心理学者が出した答えは「この人間には心が無い」
自分の子供すらに愛情を持てない人間。
子供の死で保険金が下りたらその後は、旦那の両手を切り落とし、障害保険金を催促する。
その旦那を目の前にして、「それでな。この人が死んだら、もっぺん保険金もらえるんか?」
・・・怖すぎる。。。
菰田夫妻の特に幸子のキャラが強烈ですが、少年時代に兄の自殺でトラウマを抱えた若槻、襲われながらもロンブローゾ説を否定する恵などの登場人物がいい味だしていて、菰田幸子の異常さが引き立っています。
本書が出た後に、和歌山カレー毒物事件が現実に起きて、引き合いに出されるようです。
人間、ここまで非道的になれるものなのでしょうか?

ミステリーでいえば、別の保険金詐欺を冒頭に出して、自然に菰田重徳の疑惑へと発展する流れが実にスマート。
最初は私も幸子ではなく、旦那の重徳が犯人だと思って読んでいました。
自分の子を殺すとは思えないし、毎日、保険会社へ催促に来る姿に得体の知れない気味悪さがありましたし。
まさか、幸子が裏で操っていたとは。
大体、物語の中盤ではそれが見えたのですが、その幸子の異常性が明るみに出てくればくるほど、怖くて怖くて逃げ出したくなります。
ストーカーめいた行動から、若槻に対して警告を促すような身近な人物への殺害、じわじわと近づいてくる恐怖への演出が物凄く上手い。本気で怖かったです・・・。


オススメ星★★★★★



Posted by いくモグロ at 13:55│Comments(0)貴志祐介
 
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