てぃーだブログ › マターリ読書日記 › 五十嵐 貴久 › 交渉人/遠野麻衣子・最後の事件

2009年10月22日

交渉人/遠野麻衣子・最後の事件

交渉人/遠野麻衣子・最後の事件

銀座交番、桜田門、鎌倉新宿ライナー、二階建てバス…。
都内の各所で爆弾事件が発生する。
要求は2000人の死傷者を出した“宇宙真理の会地下鉄爆破テロ事件”の首謀者・御厨徹の釈放だった。
犯人から警視庁との「交渉人」に指名されたのは、広報課の警部・遠野麻衣子。
限られた時間の中で、真犯人を突き止め、広い東京から爆弾を発見しなければならない。
さもなければ、未曾有の大惨事に見舞われることになる―。交渉人と真犯人の息詰まる4日間。
緊迫のクライマックスまで一気読み、かつてないスケールの傑作サスペンス。


「交渉人」を読んだ翌日に読みました。
え?まだ二回目なのに最後の事件なの?なんて驚いちゃったり(笑)

爆破テロの犯人が「交渉人」として選んで、予告をしてきたのが何故か「遠野麻衣子」
前回の事件から世間的には賛辞を受けたものの、当の警察関係からは苦々しく扱われ、今度は広報部に移動させられた麻衣子。
警察に最初に与えられた時間は、たった8時間。
犯人からの要求は超法規的な手段による指導者の解放。
次々に仕掛けられる爆弾と、それを巡っての警察内部での駆け引きで奔走される。

なんといっても驚いたのが、情報操作の恐ろしさ。
東京で爆弾が仕掛けられている。
世間の人々は声明文を知っているわけではない。
巨大掲示板などから出た、確かな証拠の無い「噂」だけなのだ。
いくつかの小さな爆発事件から噂が噂を呼び、大混乱で死者まで出てしまう。
前回は石田警視正の見事なまでの交渉術が主で(いや、そう言い切りますけど)閉鎖された空間で犯人と警察との駆け引きを主とした内容と、今回は対照的な物語になっている。
刻々と迫り狂う時間との戦い、パニックに陥る群集の心理、サスペンス色が濃くて面白かったです。

ラストは意外な犯人で、麻衣子の見事な推理で収束に向かう。
乱暴ではあったが、ネゴシェーターとしてプロファイリング術もみっちり勉強していたからこその結果だろう。
最後まで、勢いよく読めたエンターティメント作品。

また、ケチをつけるとすれば・・・(すみません)
パスワードを見つけたハッカー、故郷に戻る一家、群集に踏み潰されただけの駅員。・・その後があるかなと期待していたのだが、、、何も無い。
そして、木下のような女性がいくら細身とはいえ、首吊り自殺に見せかけるために180cmものある男性を持ち上げることが出来るのだろうか?
火事場の馬鹿力とはいえ、小柄な上にインテリ弁護士という設定なのだ、どうにも無理があると言わざるを得ない。
タイトルと合わせると、麻衣子も交渉人としては全く、活躍していない。
しかし、あの推理と土壇場の駆け引きは格好良かった・・・。
今度こそ、「交渉人」としての遠野麻衣子にまた、会いたいなと思う。

個人的に石田警視正が好きなので、周りになんと言われようと「尊敬している」と言い放つ麻衣子がこれまた格好良かった。
これだけでいい、最後といわずシリーズを続けて欲しい。


オススメ星★★★★


同じカテゴリー(五十嵐 貴久)の記事
RIKA/五十嵐貴久
RIKA/五十嵐貴久(2009-10-27 02:49)

誘拐/五十嵐貴久
誘拐/五十嵐貴久(2009-10-24 01:47)

交渉人/五十嵐貴久
交渉人/五十嵐貴久(2009-10-14 00:31)


Posted by いくモグロ at 22:42│Comments(0)五十嵐 貴久
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。