2009年05月20日
13階段/高野和明
傷害致死で仮釈放中の青年・純一と、犯罪者の矯正に絶望した刑務官・南郷。
彼らに持ちかけられた仕事は、記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすことだった。
タイムリミットは3ヶ月、だが、唯一の手がかりは死刑囚の脳裏に蘇った「階段」のみ。
二人は無実の男を救い出すことが出来るのか?
江戸川乱歩賞受賞、映画化、とデビューしてすぐに話題になった一冊。
まぁ、私はいつも数年以上遅れてからページをめくるんですけど。
いくつかは納得できない部分はあります。
記憶が無い状態で死刑なんて判決が下せるのかという疑問と、素人二組が見つけることが出来たのに、警察が見逃してしまう証拠品の場所、真相、佐村のラストのタイミング。
でもね、それを補い余りあるほど面白かった。
二転三転するクライマックス。
純一の指紋が凶器から出てきたときは心臓が飛び出そうでした。
上手すぎる。
同時に、並行する罪を犯してしまった者の心情や処刑に携わる者の苦悩。
刑務官にとって、死刑執行も日常になり、淡々と行っているイメージがあったのが申し訳なく思いました。
凶悪犯罪者など絞首刑くらいじゃ緩いなんて思っていたけど、それに携わる人間にとって簡単なことじゃないんですね。。
だからって死刑制度に否とは言えない。
犯罪者は更正の余地があり、被害者には二度と人生が訪れない。
刑務所は懲罰の為に存在するのか、更正の為のものなのか。
ちょっとしたことで、自分が犯罪を犯してしまう可能性、冤罪で捕まってしまう可能性。
深く考えさせられました。
いや、それにしてもこの大どんでん返しは見事。
いくつもの驚きがあり、ラストは快感と安堵、だが、結局のところ救いの無い二人の罪悪感。
「俺もお前も終身刑だ」手紙を読み終えた南郷は呟いた。「仮釈放は、なしだ」
オススメ星★★★★
Posted by いくモグロ at 10:14│Comments(0)
│高野和明